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🔵映画「西洋鏡」感想*映画館という空間の雰囲気が好きという人にはオススメ*(2000アメリカ,中国)レビュー4.2点

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【映画館で観てみたい映画】

まだ中国が辮髪と纏足の時代だった頃、中国で初めて映画を作った青年リウの物語。

この映画、中国版『ニュー・シネマ・パラダイス』というふれこみですが、確かにリウの無垢の映画愛は、トトやアルフレードと相通じるものがあるような気がします。

映画という媒体そのものが好き、あるいは、映画館という空間の雰囲気が好きという人にはオススメの映画かなと思います。一度映画館で観てみたい映画です。  

【あらすじ・感想・レビュー】

舞台は20世紀初頭の(清朝末期)の北京。イギリス人レイモンドが持ち込んだ西洋鏡(活動写真)に魅了された写真館の青年技師リウが中国初となる活動写真作りに挑戦する姿を、活動写真と京劇との軋轢やリウの身分違いの恋などのエピソードを織り交ぜながら描いた史実に基づく物語。

これは地味にいい映画だなあと思います。リウとレイモンドの人種の垣根を超えた友情、リウと京劇の大物役者の娘リンとの身分違いの恋、リウと親や雇い主との温かい絆……それぞれの想いや心の機微が丁寧に描かれて、人肌の温もりを感じます。レイモンドがリウに自身の境遇を打ち明けるシーン、レイモンドの指南を受けてリウがリンにキスをするシーン、父が息子リウを助けるために眼鏡のレンズを提供するシーンなど、忘れられないシーンはいくつもありますが、最も印象深いのは、活動写真館の客席の大人や子供の屈託のない笑顔です。自分も初めて映画を観たときは、きっとこんなふうに目を輝かせ、驚いたり、興奮したりしたんだろうなあという想いが胸をよぎって、もうその笑顔を見ただけで十分幸せな気分になれました。

また、朴訥で好奇心旺盛なリウももちろん好印象ですが、リンの魅力が際立っています。パッと目を引くような華やかさはありませんが、彼女がまとう初々しく楚々とした雰囲気は、今の時代、かなり希少だと思います。はやりの女優にはない素朴な美しさがあって、ずっと目が釘付けになりました。写真館の店主もどこかで見たことあるなあと思ったら、『秋菊の物語』、『北京ヴァイオリン』に出ていたんですね。芸達者なおじさんです(俳優陣だけ見ても中国映画のレベルはなかなかのものだと思います)。

……この映画、背景に万里の長城や紫禁城も登場します(なんと西太后や京劇の演舞まで!)。その華麗で壮大な光景に触れて、中国の悠久の歴史に想いを馳せるのも、また一興かと思います。