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【2017年に出会った凄い本】10作品紹介

【2017年に出会った凄い本10作品】

今年もいよいよ残りわずかとなりました。

そこで、今回は、この1年間の読書体験の総決算として、今年最も感銘を受けた本を10作品セレクトし、ランキング形式で紹介したいと思います。

ちなみに、次点は、『最後の医者は桜を見上げて君を想う/二宮敦人』か『盤上の夜/宮内悠介』あたりでしょうか。『卵をめぐる祖父の戦争/デヴィッド・ベニオフ』や『ロボット・イン・ザ・ガーデン/デボラ・インストール』も良かったし、悩ましいところではありますが。

 

№10 

🔴満天のゴール/藤岡陽子(小学館)

満天のゴール

満天のゴール

夫から離婚を切り出され、京都の山奥の実家に身を寄せた奈緒、過去に責められ続ける地域の基幹病院の勤務医三上、人生に絶望し、生きることを諦めた老婦人早川。3人の運命的な出会いがそれぞれの人生を変えていく……というストーリー。

人が人を想う気持ちの温かさがひしひしと伝わってきて、「あゝ、この本と出会えて良かった」と心底思える感涙の一作です。最後にタイトルの本当の意味に気付いたとき、思わず目頭が熱くなります。

 

№9

🔴犯罪/フェルディナント・フォン・シーラッハ(創元推理文庫)

犯罪 (創元推理文庫)

犯罪 (創元推理文庫)

ドイツの刑事弁護人の著者が実際の事件を素材として、罪を犯す人間たちの複雑な心理を描いた11の連作短編集。

これはミステリーというより優れた心理小説。どれも小品ながら、エッセンスが濃縮され、しかも物語に広がりと奥行きがあって、短編のお手本のような作品ばかりです。行間の余白を最大限活かし、むしろ書かないことによって物語に滋味と深い余韻を醸し出すその巧緻な文体に舌を巻く一作です。

 

№8

🔴よろこびの歌/宮下奈都(実業之日本社文庫)

よろこびの歌 (実業之日本社文庫)

よろこびの歌 (実業之日本社文庫)

歌を通じて、様々な悩みを抱えた少女たちが心を通わせ、少しずつ緩やかに成長していく姿を描いた、美しい青春音楽小説。

少女たちの心の柔らかさが眩しくて、若さを少し羨ましくも感じます。彼女たちが歌う『麗しのマドンナ』……一度聴いてみたいです。曲がったり折れたりしながらも、少しずつ前に進んでいく彼女たちの姿が清々しくて、心が洗われるような一作です。小説としての完成度が高く、作者の最高傑作と言ってよいかと思います。

 

№7

🔴桜風堂ものがたり/村山早紀(PHP)

桜風堂ものがたり

桜風堂ものがたり

一冊の本を介して育まれる孤独な書店員の心の成長と、本を愛してやまない書店員たちの美しい絆を、伸びやかな筆致で描いたハートフルストーリー。

人を信じる心の貴さ、大切な人を想う心の美しさ、一歩を踏み出す勇気の大切さなど、人として大切なことを教えてくれる、優しさに満ちた一作です。物語が終わってしまうのが名残惜しくて、残りのページ数を気にしながら本を読んだのは、本当に久しぶりです。

 

№6

🔴紙の動物園/ケン・リュウ(ハヤカワ文庫)

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

気鋭の中華系アメリカ人作家、ケン・リュウの短編7篇を収録した傑作短編集。

「抒情性」と「論理性」を高い次元で両立させた新感覚の文学。これら一連の短編群は、SF小説の新たな地平を切り拓く記念碑的作品、あるいは21世紀文学の先駆的作品と言っても過言ではないと思います。その恐るべき才能を目の当たりにし、世界の広さを改めて痛感する一作です。

 

№5

🔴デフ・ヴォイス/丸山正樹(文春文庫)

デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士 (文春文庫)

デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士 (文春文庫)

手話通訳士の中年男が、ろう児施設で起きた殺人事件の謎を追ううちに、自分のアイデンティティを取り戻していくさまを描いたミステリータッチのヒューマンドラマ。

作者のマイノリティに対するフラットな視線が印象的な、心震える感動作。衝撃と感涙のラストは必読です。『デフ』、『コーダ』、『日本手話』、『日本語対応手話』などなど、ろうや手話に関する様々な事柄を学べる点でも、貴重な一作かと思います。

 

№4

🔴チャリング・クロス街84番地/ヘレーン・ハンフ(中公文庫)

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)

チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本 (中公文庫)

1949年、ニューヨークの本好きの女性がロンドンの古書店に送った一通の手紙。そこからはじまる20年にわたる交流を往復書簡形式で綴った心温まる名作。

サブタイトルのとおり、「書物を愛する人のための本」。本が好きで好きで堪らない人なら、ぜひともご一読を。地味でささやかな作品ながら、年代物のウイスキーのように芳醇で豊穣な味わいの逸品です。江藤淳の翻訳も冴えています。

 

№3

🔴悪童日記/アゴタ・クリストフ(ハヤカワepi 文庫)

悪童日記 (ハヤカワepi文庫) 

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

魔女と呼ばれる祖母のもとに疎開した幼い双子の兄弟が、悪魔的天才ぶりを発揮して、戦禍をしたたかに生き抜いていくさまを描いた傑作(反戦)小説。

兄弟の冷徹極まりない倫理観に戦慄が走り、その毒気に当てられて、しばし言葉を失います。これは安逸を貪る大人たちへの挑戦状のような小説です。著者はとうとうラスコーリニノフ、ムルソーに次ぐ新たな人格を創造したのでは、とさえ思えます。

 

 

№2

🔴学生との対話/小林秀雄講義(新潮文庫)

学生との対話 (新潮文庫)

学生との対話 (新潮文庫)

昭和36年から53年にかけて、小林秀雄が九州各地で行った学生向けの講演と、その際の学生との質疑応答を文字起こしして収録した貴重な講演録。

小林秀雄の言葉は難解です。しかし、この本で味わうべきは、講義の中身というより小林秀雄と当時の彼の学生たちの学問に対する“熱”でしょう。特に、知的好奇心溢れる学生たちの姿勢には感動を覚えます。向上心に富んだ若者なら、きっとこの本に出会えたことを感謝するに違いないと確信します。

 

№1

🔴大誘拐/天藤真(創元社推理文庫)

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)

大誘拐―天藤真推理小説全集〈9〉 (創元推理文庫)

82歳の大金持ちのおばあちゃんが誘拐された。その身代金はなんと100億円!……一癖もふた癖もある老獪なおばあちゃんの誘拐騒動を空前のスケールで描いた、ノンストップミステリー。

魅力的なキャラクター、度肝を抜く展開、卓抜なユーモア、そして意外な結末……どれをとってもピカイチの出来。エンターテイメントの質の高さという点で他の追随を許さない、20世紀ミステリーの金字塔と言うべき作品かと思います。