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🔴神様ゲーム/麻耶雄嵩(講談社文庫)3.7点

神様ゲーム (講談社文庫)

神様ゲーム (講談社文庫)

【神様というより死神!?】

見た目は児童書風の体裁ですが、結構ショッキングな内容なので、お子様にはとてもオススメできないミステリーです。 

しかし、神様を名乗るクラスメイトの鈴木君の不気味な存在感が光っていて、一気に読めるミステリーではあります。殺人犯に対する神様らしくない“天誅”の加え方を見ていると、なんかこれって『神様ゲーム』じゃなく『死神ゲーム』じゃね?と思ったりもします。……ところで、イマドキの小中学生は、“天誅”ってコトバ、聞いたことあるんでしょうか?(純粋な疑問です)

【あらすじ】

芳雄(小4)の住む平和な田舎町で、相次いで猫の殺害事件が発生します。少年探偵団のメンバーである芳雄は、他の4人のメンバー(孝志、俊也、聡美、ミチル。いずれも芳雄のクラスメイト)とともに犯人探しを開始しますが、手掛かりはなかなか掴めません。

そんなとき、芳雄は、神様を名乗る不思議な転校性、鈴木君から、猫殺し犯の正体を明かされます。嘘?本当?芳雄は半信半疑のまま、他のメンバーと相談の上、警察に捜査を依頼することにします。

そして、その数日後、探偵団が本部として使っている林の中の廃屋で、彼らはクラスメイトである英樹の死体を発見します。事故死?それとも猫殺し犯の仕業?事故死と断定した警察の判断に納得が行かない芳雄は、親友だった英樹の仇を打つため、独自に捜査を始めます。やがて、真相が明らかになるにつれ、芳雄は最悪の事実を知ることなってしまいます……。 

【感想・レビュー】

いやはや、なんとも残酷で救いのないお話です(幼少期にこんなトラウマを抱えたら芳雄が将来マトモに育つとはとても思えません)。でも、小学生目線の平たいコトバで書かれているので、とても読みやすく、また、密室トリックを使った本格推理の醍醐味も味わえて、なかなか面白いミステリーではあります。

大人である私が特に興味深かったのは、神様を名乗る鈴木君の口を借りて語られる作者の宇宙論や宗教観。“無限”や“永遠”、あるいは“死”や“神”の意味について、平易な説明がなされ、説得力も十分です(難しいことをこれほど易しく説明できるなんて、さすがです)。確かに、万物を、「始まりと終わり」「原因と結果」といった因果律で捉えてしまう人間の思考では、“無限”の意味など永久に理解できないのかもしれませんね。

もっとも、私自身は、コトバの問題が大きいんじゃないかという気がするのですが。コトバは何かを特定するためにあり、ヒトはそのコトバで思考するわけですから、コトバで特定できないものは思考ができないし、その結果、理解もできない、ということになるんじゃないかと。例えば、「コップの内側と外側」といった把握の仕方(コトバによる思考)で、内側でも外側でもない“無限”とか“永遠”とかを把握するのはそもそも不可能なんじゃないかと思っているのですが。あとはまさに“神の領域”(……うろ覚えですが、最新の宇宙理論は徐々に仏教思想に近づいている、と聞いた記憶があります)。明晰な頭脳も、救いとなる宗教も持たない私のような凡人には、“謎は謎のままに”です。

……ボロが出てきたところで、話を戻します。

この作品、ラストもスゴいです。ドンデン返しのどんでん返し(どんでん返しの2乗!)で、予想を軽く裏切られ、読後、頭の中は???。自分の貧弱な推理力を鼻で笑われた気分で、フラストレーションが溜まります。悔し紛れに一言言わせてもらえれば、結末の不可解さ(作者の意図は朧気には分かるのですが……)に加えて、序盤の猫殺しや芳雄の出生の秘密などの伏線が最後まで回収されていないところは不満が残ります。

まあ、なんだかんだ言いながらも、麻耶ワールドをたっぷり堪能できたので、大した不満はないのですが……。