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🔴ロボット・イン・ザ・ガーデン/デボラ・インストール(小学館文庫)4.4点

ロボット・イン・ザ・ガーデン 

ロボット・イン・ザ・ガーデン

【人間を再生するロボット】

34歳のダメ男とポンコツロボットの友情と冒険を描くSFファンタジー。とにかく、ポンコツロボットのテングが文句なしに可愛らしい。

【あらすじ】 

物語の舞台は、アンドロイドが人間に代わって車の運転や家事をする近未来のイギリス南部の村。

親の遺産で日々を漫然と過ごすベンと気鋭の法廷弁護士エイミーの夫婦仲は冷え切っていて、崩壊寸前。そんなとき、ベンの家の庭にタングと名乗る旧式ロボットが現れる。

壊れかけのポンコツロボット、タングに夢中のベンに愛想を尽かしたエイミーはとうとう家を出て、二人は離婚へ。

傷心のベンは、テングを修理してもらうため、テングとともに作り主を探す旅に出る。

【感想・レビュー】

アンドロイドが洗濯や料理をし、ドローンが宅配サービスする時代なのに、ベンの愛車はホンダ・シビック?タングが旧式ロボットでその進化形がアンドロイドという設定なのに、自動運転の車も空中飛行の車もない?……何ともチグハグな時代設定なのだが、その珍妙なテイストがアナログ感全開のテングの雰囲気に意外とマッチしているから不思議。

もっともこの作品のテーマは、『34歳のダメ男の成長物語』なのだから、時代設定など二の次なのだが……。

ベンとテングの関係は、まさに父親と息子。楽しさや嬉しさを全身で表現し、『何で?』『やだ!』を連発する天真爛漫なテングと、そのヤンチャぶりに右往左往して冷汗を掻くベンの姿に微苦笑が絶えない。ベンが、駄々をこねるテングのあしらい方を徐々に習得していく様子は、まさに父親としての成長そのもので、息子を持った父親なら誰しも共感できるところだろう。 

アメリカ、東京、パラオと続く冒険の旅の過程で、ベンは生まれて初めて自分の人生と真剣に向き合うようになる。そして、自分を変えていく。ベンが変わることで、エイミーとの関係も変わっていく。その辺りの描写が何とも切なく、清々しく、愛おしい。

ベンとテングのダメダメコンビを一所懸命応援していたら、いつの間にか彼らに癒され、励まされ、勇気づけられていた……そう感じる読者はきっと多いはず。これが物語の魔法というものだろう。

ラストは拍手を贈りたくなる心地好さ。これぞファンタジー!日本と日本人を好意的に描いている点も気持ちがいい。