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🔴マーチ博士の四人の息子/ブリジット・オベール(ハヤカワ文庫)4.0点

マーチ博士の四人の息子 (ハヤカワ文庫HM)

マーチ博士の四人の息子 (ハヤカワ文庫HM)

【酔っ払いメイドVSサイコキラー】

裕福なマーチ博士一家の住み込みメイド、ジニーと、一家に潜む謎の快楽殺人鬼との息詰まる攻防戦を描いたフランス人女性作家によるホラー系ミステリー。

 【あらすじ】

マーチ家に住み込みで雇われたメイド、ジニーは、ある日偶然『殺人者の日記』を発見する。

日記には、殺人者のこれまでの殺人の記録、抑えきれない殺人衝動、これからの殺人予告などが書かれていた。そして、自分が4人の息子の1人であるということも。

殺人者の正体は誰なのか?ジニーは、持ち前の正義感から犯人探しに乗り出すが……。

 【感想・レビュー】

物語は快楽殺人鬼の『殺人者の日記』とメイドの『ジニーの日記』の往復書簡形式で進行する。

それぞれの日記中に全てのヒントを散りばめながらも、巧みに犯人をカムフラージュして、最後まで読者を飽きさせないところは流石で、作者のアイデアとテクニックの勝利と言うべきだろう(トリッキーな結末については賛否が分かれるかもしれないが、息子たちが四ツ子という設定の奇抜さやメイドと犯人の日記上での応酬の面白さに、この作家の非凡な才能が窺える)。

また、『前科持ちで逃亡中の身でありながら善良で勇敢、酒好きが欠点の31歳独身女性』というメイドのキャラも光っている。

ただ一方で、メイド以外の登場人物の印象が薄く、物語としての陰影が乏しい点が惜しまれる。快楽殺人鬼の人物造形に「羊たちの沈黙」のレクター博士ほどの凄みがあれば更に印象深い作品になったような気がするのだが……欲張りすぎだろうか。