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🔵人生は狂詩曲/(2014ベルギー,ルクセンブルク)3.9点

人生は狂詩曲 [DVD]

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ベルギーにはフラマン人とワロン人がいて、言語もオランダ語圏とフランス語圏に分かれている、なんてこのトシになるまで全く知らなかった。この小さな国ですらそうなのだから、欧州全体となると、もうどれだけ複雑なバランスで成り立っているのか、想像もつかない。EUの高邁な理想が各国のナショナリズムの前に危機に瀕しているのも、何となく分かる気がする。……とは言っても、この映画は、そんな政治的深刻さとは無縁の明るく愉しいミュージカル・コメディ。

【あらすじ】

ブラバンの欧州決勝コンクールへの代表を選ぶ選考会で、北部フランドル地方代表の楽団サン・セシリアは、南部ワロン地方代表の楽団アンナバンと並んで同点1位となり、見事コンクールへの切符を手に入れる。しかし、その選考会の直後に、サン・セシリアのペット奏者のソリストが倒れ、息を引き取ってしまう。このままでは、コンクールでの勝利は望めないと案じたサン・セシリアのマネージャー、エルケは、ライバル楽団のアンナバンの天才ペット奏者、ユーグの引抜きを画策するが、それを機に元々文化も気質も違う二つの楽団は、益々対立を深めていく……。

【感想・レビュー】

この映画の見どころは、何と言っても、登場人物の心情やエルケとユーグの恋を彩る歌の数々。この映画、話し言葉を歌で表現するミュージカル仕立てになっているが、物語の展開に合わせて、あるときは滑稽に、あるときは物悲しく、またあるときは溌溂と繰り出される歌の数々は、意外と短くて、その分歯切れが良く、聴いていて飽きない(ベルギー音楽もけっこうイケてる!)。ブラバンの演奏もクオリティが高くて、なかなかの迫力。選曲のセンスも良く、特に、ユーグがエルケへの想いを込めて奏でる「雪が降る」のペットの切ない響きにはグッとくるものがある。

ちなみに(どうでもいい事だが)、ユーグはモテモテのイケメンの役どころなのだが、大抵の日本人はそこには違和感を感じるのではなかろうか(何となくメキシカン?風)。どうもベルギー人と日本人の美意識にはかなりの違いがあるようだ(もっとも、彼が歌やペットの腕を買われて抜擢されたのなら、分からないでもない)。

ストーリー自体は単純で予定調和的と言えなくもないが、本作は、音楽の力で魅せる映画。ベルギーの歴史を感じさせる街並みや緑豊かな田園風景も、文句なしに美しい。こういった様々な国の文化や風景に触れる喜びもまた、外国映画の愉しみの一つではある。