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🔴週末カミング/柴崎友香(角川文庫)4.2点

週末カミング (角川文庫)

週末カミング (角川文庫)

ごく普通の人々の日常を描き続ける作家、柴崎友香の、「週末」をテーマにした短編8篇を収録した作品集。

【作家について】

この作家もまた魅力的。劇的な出来事などなくても、少し視点を変えれば、日常は驚きと慈しみに満ちている、という肯定的なメッセージがどの作品からも伝わってきて、穏やかで優しい気持ちにさせられる。

【感想・レビュー】

この作品集は、大抵の人が気にも止めない日常のごく些細な出来事に潜む一瞬の奇跡(かけがえのない大切なもの)をすくい取って読者に提示することをモチーフにしているが、この点で、津村記久子の作風にとてもよく似ている。もちろん二人の文体はかなり異なっているのだが(大雑把に言えば、柴崎友香はソフト、津村記久子はシャープというイメージか)。彼女たちの作品を読んで驚くのは、なにより日常の些細な出来事に対する感応力の高さ、あるいは鋭さ。だから読む度に新鮮な発見がある。しかし、そういった非凡な感性は一体どうやって培われるものなのだろうか(この種の感性に関しては、この二人は傑出していると思う)。才能と言ってしまえばそれまでだが、何かこの二人、日常(=世界)と自分との間合いの取り方とか、日常(=世界)への関心の向け方が、普通の人と根本的に違っているような気がするのだが……勘違いだろうか。

本作品集は、どの作品も味わい深い良作ばかりだが、あえて好きな作品を挙げるとすれば、親燕の餌やりをぼんやり眺めながら雛燕の行末を心配するヒロインの慈しみの心境を描いた「つばめの日」だろうか。この作品は、若い女性3人の会話にも、何とも言えない味があって面白く、この作家の特徴がよく表れた一作だと思う。

日常と人生を肯定する作家の愛すべき作品集。今を懸命に生きる若い女性にオススメ!